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しいんのぎもん
死因の疑問
豊島 与志雄
「小説公園」1951(昭和26)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,260 字 · 27 页
側の卓上には、菓子や果物、緑茶と紅茶、ウイスキーとビールなど、取り散らされていた。この最後の二品は、二人の友情とその日の談話の性質を示すものだった。
「この節の娘たちの気持ちは、わたくしどもには見当がつかなくなりましたわ」
松永夫人はそう言って溜息をついた。彼女の娘で、女子大学に通っているのが、或る新劇団に関係していたが、この三月限り退学して、正式に舞台に立つことにしたと、言い出したのである。映画女優よりはまだましかも知れないけれど、それにしても、学校を中途退学してまでもと、松永夫人は呆れたが、娘は頑として自分の意志を通そうとしてるのだった。
「でも、お嬢さまの考えかたは、自由で明るくて、御心配なさるほどのこともございますまい。」
三上夫人はそう言って、なにかほかのことに思いを走せてる様子だった。
その時、松永夫人は、亡くなった田代清子のことを持ち出したのである。田代清子、三上家での呼名の清さんを、松永夫人は度々の来訪によってよく知っていた。いい女中さんねと、いつも言っていた。彼女は声をひそめた。
「あのひと、ほんとうにどうしたんでしょうねえ。」
「それが、わたくしにも今もって、よく腑におちないんですの。