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じゅんし
殉死
山本 周五郎
「キング」大日本雄辯會講談社、1943(昭和18)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,737 字 · 21 页
「そのほかに解釈のしようがあるか」
「あるとも、禁令の御趣意は、ただ追腹を切らなければよいというだけではない、生きて御奉公すべしという意味だ、これまで諸方の藩にも例のあるとおり、太守の喪に当って幾人いく十人の殉死があった、君臣の情さもあるべきことながら、そのなかには有為の人材があったにちがいない、生きていればなおりっぱに御奉公のできる者が、いかに君臣の情とは云えあたら屠腹して果てるというのは、国家という大きいところからみて無益な損失だ、……ごしゅくん百年のあとにも藩家はある、お世継もすなわちごしゅくんではないか、ひとりの殿に殉じて、家臣たちがみな屠腹したり世を捨てて墓守りになったとしたらどうなるか、それが武家の道だと云えるか、まことの武士なら生きぬけ、殉死すべき命を生きて御奉公に捧げよ、……御禁令の趣意はそこにある、拙者はそう解釈する、貴公たちこれを誤っていると思うか」
「八島どのにおたずね申す」
そう叫んでひとりの若侍が前へ出て来た、福尾庄兵衛の弟、勝之丞であった。「いまあなたは兄を誹謗なすった」「貴公は誰だ」「福尾勝之丞、庄兵衛の弟です」「拙者がなんと誹謗したのだ」