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さつじんめいろ
殺人迷路
夢野 久作
07 (連作探偵小説第七回)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,931 字 · 12 页
「フウン。どうして……」
「ウン、それがね。本社の戸田と三田村がきょうの警視庁詰でね。新米の三田村を案内して遣る積りで裏口の方へまわると、例の正岡と刑事二三人に囲まれてコッソリ自動車から降りて来る若い奴の顔を見るなり探偵小説好きの三田村が大きな声で……アッ……星田さんが……と叫んだものだ。するとその声を聞き付けた星田が戸田の顔を見るなり、刑事に気付かれないように、口を二度ばかりパクパクやってみせた。そのまんま何とも云えない悲痛な微笑を浮かべると、又モトの通りにうなだれて行ったというんだがね。その口の動かし方をアトから考え合せてみると、たしかに二度ともサイアク、オククウと云っているに違い無いと思われた。だもんだから、これは何かのヒントじゃないかって戸田の奴が電話で云ってよこしたんだ。日比谷の自動電話を使って……」
「フーン。しかし夫れだけじゃ特種にならないね」
「だからさ。ヒントなら何のヒントだか、これから考えなくちゃならないんだが、俺ぁトテモ苦手なんだ。こんな事が……しかも此の……サイアク……オククウは星田が村井に伝えてくれと云う意味で、特に村井と心安に戸田の顔を見かけて云ったことかも知れないんだ。