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さつじんめいろ

殺人迷路

甲賀 三郎

10 (連作探偵小説第十回)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,806 字 · 14 页

青空文庫

俊子さんの妹?」

津村は改めて真弓の姿を見守った。

村井はやや得意そうに、

「僕の推測は誤らなかった。真弓さんは姉さんの復讐をしたんだよ」

と、突然、真弓は顔を上げた。

「違います、違います。私は姉の仇を討とうと思って、そ、それが出来なかったんです」

甲高い声でこう叫ぶと、彼女は再び激しい泣きじゃくりを始めた。

恐ろしい男

津村と村井はちょっと顔を見合したが、直ぐに右と左から真弓の傍によって、優しく抱き起して、

「まあ、そんなに昂奮しないで」

「もう少し落着いて」

と、劬りながら、傍にあったソファの上に彼女をそっと置いた。

そのうちに、真弓はやや落着いて来たので、村井は訊き始めた。

「姉さんの仇が討てないなんて。そんな事はない。立派に討てたじゃありませんか」

「いいえ」真弓はかぶりを振った。「あの恐ろしい男は――」

そう云って、彼女はさも恐ろしそうにあたりをキョロキョロと見廻して、

「私は――私は――とても恐ろしくて耐りません。殺されます、きっと殺されます。私生命は惜しいとは思いませんが、お父さんや姉さんの仇を討たないで、犬死するのはいやです。あの男は、いつどんな時でも、私のする事を見守っているのです。