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さつじんめいろ
殺人迷路
江戸川 乱歩
05 (連作探偵小説第五回)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,041 字 · 17 页
「フム、それで、君自身が疑われることを恐れて、京子さんだと云うのを差控えたんだね」
「まさかそう迄は考えなかったけれど、悪人の恐ろしい陰謀の一端を見せつけられたような気がして、ハッとして、こいつは迂濶に喋れないと思ったんだよ。そこへ持って来て、更に第二の証拠だ」
「第二の証拠だって?」
「ウン、そうだよ。僕は例の犯人の靴跡を見た時には、黙って逃げ出したいような気がした。あの足跡を追って歩いて行く僕自身の靴の跡が、犯人のと寸分違わない形で、一つずつ地面に残って行くんだからね。全く居たたまらない気がしたよ。幸い誰も気がつかなかったけれど……見給え、この靴は別誂えなんだ。不恰好を構わず、出来るだけ楽なように、足の形のままに作らせたんだ。だから、僕にはあの靴跡を一目見ただけで分ってしまったんだよ」
「フーム、考えやがったな。なる程こいつはインパーフェクト・クライムどころではなさそうだね。併し、いくら証拠が揃っていたって、君にはアリバイがあるだろう。この頃は締切に追われてズッと家にいたんじゃないか」
「ところが、昨夜に限って、一晩中家をあけたんだ。例の癖で、原稿書きに行きつまったものだから、深夜の浅草公園をうろつき廻って、夜を明かしたんだ。