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さつじんめいろ
殺人迷路
江戸川 乱歩
05 (連作探偵小説第五回)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,041 字 · 17 页
署長は中途で引取って、「その今朝の男の靴跡も如才なく検べてあるんです。併し、これとはまるで違っていましたよ」
「アア、そうでしたか。じゃ下手人ではなかったのですね。でも、同類でないとは極められませんよ。彼等は実に符節を合わすように似ているんですからね。では、今朝この鎌倉に現われた男女が、どうして東京にいたかとおっしゃるか知れませんが、その点は訳なく解釈出来るのです。彼等が空家を見に来たのは九時頃だって云いますから、それから直接引返せば、自動車にしろ、電車にしろ、東京へは二時間以内で行けるんですもの、同じ二人が、午後二時頃上野公園へ現われたって何の不思議もありません。正岡さん、あなたはどうお考えになります」
津村は名探偵の同意を求めた。
「サア、それも可能ではありますね。併し、確かな証拠を握るまでは、そうと極めてしまう訳には行きませんよ」
正岡氏は、西洋小説の名探偵と同じように、捜査なかばに、彼自身の結論を発表しない癖があった。
もう夕闇が迫っていた。怪犯人の靴跡も目をこらさなくては見分けられぬ程になっていた。
「では一度署の方へ寄りませんか。もう被害者の写真や指紋写真の焼きつけが出来ている時分だし……」