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さつじんめいろ
殺人迷路
江戸川 乱歩
05 (連作探偵小説第五回)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,041 字 · 17 页
署長は主として正岡警部に勧めた。併し津村も星田も遠慮をする気にはなれなかったので、あつかましく両人のあとに随った。
署長は途中空家へ立寄って、被害者の死体を解剖の為に病院へ運ぶ指図など与えて置いて、自動車の待っている大通りへと急いだ。検事、予審判事の一行の現場検証は、正岡警部達の一団が到着する以前、既に終っていたのだ。
署につくと、三人の客はあかあかと電燈のついた署長室に招じ入れられたが、そこの大デスクの上には、もうちゃんと、焼きつけを終った、数枚の現場写真が待ち受けていた。
署長の太い指先が、覗き込む三人の頭の下で、その写真を一枚一枚検べて行った。
「これが指紋だ」彼は眼鏡の玉と、ドアの引手の拡大写真を、二枚並べて見較べながら説明した。――「このレンズに出ているのは、多分右手の拇指なんだが、引手の方にも、全く同じものが、ハッキリ現われているでしょう。これで覗くとよく分る。珍らしくよく整った螺旋紋だ」
三人は署長からその写真と、拡大鏡とを受取って、順番に問題の拇指紋を覗き込んだ。
「オヤ、この指には古傷の跡があるね」
正岡警部がすぐ様それを発見して叫んだ。