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どくガスはつめいかん
毒瓦斯発明官
海野 十三
――金博士シリーズ・5――
N1 · 挑战 · 新字新假名 · 9,511 字 · 20 页
「それはそうじゃ。甚だわしの方が損じゃ。帰ったら醤に、そういっていたと伝えてくれ。しかし神聖なるバーター・システムの誓いの手前、こっちでもぬかりなく按配しておいたと、あの醤めにいってくれ。さあ、引取るがよろしかろう」
「はいはい承知いたしました」
燻精には、何やら腑におちかねる点もあったが、今が引揚の潮時だと思ったので、博士をいい加減にあしらった。着換えをすますと彼は博士の前に出て恭々しく三拝九拝の礼を捧げ、踵をかえして、部屋を出でんとすれば、何思ったか金博士は、急にうしろから呼び留めた。
「ああ、お帰りはこちらだ。この狭い廊下をずっといって、やがて突当ると、自動式の昇降機がある。それに乗って一階へ出なさい。すると至極交通に便なところへ出る」
と博士は、壁の釦を押し、壁に仕掛けてあった秘密の潜り戸を開いて、指した。
「ああそれはどうも。こっちに通路があるとは、全く存知ませんでした」
「こっちは特別の客だけしか通さないんだ。暫く誰も通さなかったから、顔に蜘蛛の巣がかかるかもしれない。手で払いのけながら、そろそろ歩いていきたまえ」
「いや、御親切に、ありがとう」