轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

どくぐさ

毒草

江戸川 乱歩

「探偵文藝」奎運社、1926(大正15)年1月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,692 字 · 10 页

青空文庫

それから、その堕胎談がきっかけになって、私達の話は産児制限問題に移って行った。その点では友達も私も、近頃の若い者のことだ。無論話が合った。制限論者なのだ。ただそれが誤用されて、不必要な有産階級に行われ、無産社会には、そんな運動の起っているのを知らぬ者が多い、現にこの近所には貧民窟の様な長屋があるのだが、そこではどの家も必要以上に子福者ばかりだ、という様なことを大いに論じたものである。

それを論じながら、計らずも私の頭に浮んで来たのは、私の家のすぐ裏に住んでいる老郵便配達夫一家であった。そこの主人はこの町の三等郵便局に十何年勤続して、月給僅に五拾円、盆暮れの手当てが各々二拾円に充たないという身の上であった。その中で晩酌を欠かした事のない酒好きではあったけれど、極めて律義者で、十何年という長の月日を、恐らく一日も欠勤せずに通した様な男であった。それで年は五十を越しているらしいのだが、結婚がおそかったものと見えて、十二歳を上に六人の子宝(?)があるのだ。屋賃だって拾円は払わねばなるまい。それをまあどうして暮して行こうというのだ。夕方になるとは、十二歳の長女が大切相に五合瓶を抱えて、老父の晩酌を買いに行く。