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ひかくかがくろん
比較科学論
中谷 宇吉郎
「寺田寅彦――比較科学論」新潮社、1959(昭和34)年4月25日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,520 字 · 19 页
四 二つの研究の型の融合
四 二つの研究の型の融合
今日のように発達し、専門化かつ分化した物理学においても、新しい発見というものは、偶然によってもたらされることが、非常に多い。全く新しいことならば、誰も予期しないことであるから、偶然によって発見されるのが当然である。
今日の原子力時代をもたらした基礎の知識は、原子核理論である。その原子核の構造は、陽電子、中性子、メソンなどのいわゆる素粒子の発見によって、初めて分ったものである。ところでこれらの素粒子の発見は、ウィルソンの霧函によってなされたのである。ウィルソンの霧函内では、放射線粒子の一つ一つの運動を、眼で見ることができるので、原子の研究には、最大の武器の一つである。
ところがこの霧函は、何も放射線を見るために考案されたものではなく、雨がどうして降るかという研究の副産物であったのである。水蒸気が上空で凝縮して雲になり、雲の粒子が集って雨となって降ってくる。その最初のところで、水蒸気が凝縮して雲の粒になるときに、核、すなわち芯になるものが必要である。ウィルソンは気象学者であって、空気中のイオンがこの芯になる作用を研究していたのである。