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みずのおんな

水の女

折口 信夫

「民族 第二巻第六号」1927(昭和2年)年9月、「民族 第三巻第二号」1928(昭和3年)年1月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,525 字 · 38 页

青空文庫

二 みぬまという語

たとえば天の御蔭・日の御蔭・すめらみこと・すめみまなどいう語も、奈良朝あるいは、この近代の理会によって用いられている。なかには、一語句でいて、用語例の四つ五つ以上も持っているのがある。

言語の自然な定義変化のほかに、死語・古語の合理解を元とした擬古文の上の用語例、こういう二方面から考えてみねば、古い詞章や、事実の真の姿は、わかるはずはない。

二 みぬまという語

これから言う話なども、この議論を前提としてかかるのが便利でもあり、その有力な一つの証拠にも役立つわけなのである。

出雲国造神賀詞に見えた、「をち方のふる川岸、こち方のふる川ぎしに生立(おひたてるヵ)若水沼間の、いやわかえに、み若えまし、すゝぎふるをとみの水のいや復元に、み変若まし、……」とある中の「若水沼間」は、全体何のことだか、国学者の古代研究始まって以来の難義の一つとなっている。「生立」とあるところから、生物と見られがちであった。ことに植物らしいという予断が、結論を曇らしてきたようである。宣長以上の組織力を示したただ一人の国学者鈴木重胤は、結局「くるす」の誤りという仮定を断案のように提出している。