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みずのおんな

水の女

折口 信夫

「民族 第二巻第六号」1927(昭和2年)年9月、「民族 第三巻第二号」1928(昭和3年)年1月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,525 字 · 38 页

青空文庫

丹波国に五婦人あり。志並に貞潔なり。是、丹波道主王の女なり。(〔道主王は、稚日本根子大日々天皇の子(孫)彦坐王の子なり。一に云はく、彦湯産隅王の子なり。〕)当に掖廷に納れて、后宮の数に盈つべしと。天皇聴す。……丹波の五女を喚して、掖廷に納る。第一を日葉酢姫と曰ひ、第二を渟葉田瓊入媛と曰ひ、第三を真砥野媛と曰ひ、第四を※瓊入媛と曰ひ、第五を竹野媛と曰ふ。(垂仁紀)

この後が、古事記では、弟王二柱、日本紀では、竹野媛が、国に戻される道で、一人は恥じて峻淵に(紀では自堕輿とある)堕ち入って死ぬ。それから、堕国と言うた地名を、今では弟国と言うとあるいはながひめ式の伝えになっている。

思うに、悪女の呪いのこの伝えにもあったのが、落ちたものであろう。ほむちわけのみこのもの言わぬ因縁を説いたのが、古事記では、すでに、出雲大神の祟りと変っている。出雲と唖王子とを結びつけた理由は、ほかにある。紀の自堕輿而死の文面は「自ら堕り、興して死す」と見るべきで、輿は興の誤りと見た方がよさそうだ。「おつ」・「おちいる」という語の一つの用語例に、水に落ちこんで溺れる義があったのだろう。