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みずのおんな
水の女
折口 信夫
「民族 第二巻第六号」1927(昭和2年)年9月、「民族 第三巻第二号」1928(昭和3年)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,525 字 · 38 页
一五 夏の祭り
初春の祭りに、ただ一度おとずれたぎりの遠つ神が、しばしば来臨するようになった。これは、先住漢民族の茫漠たる道教風の伝承が、相混じていたためもある。ゆきあい祭りを重く見るのも、それである。春と夏とのゆきあいに行うた鎮花祭と同じ意義のもので、奈良朝よりも古くから、邪気送りの神事が現れたことは考えられる。鎮花祭については、別に言うおりもあろう。ただ、木の花の散ることの遅速によって、稲の花および稔りの前兆と考え、できるだけ躊躇わせようとしたのが、意義を変じて、田には稲虫のつかぬようにとするものと考えられた。それと同時に、農作は、村人の健康・幸福と一つ方向に進むものと考えた。だから、田の稲虫とともに村人に来る疫病は、逐わるべきものとなった。春祭りの「春田打ち」の繰り返しのような行事が、だんだん疫神送りのような形になった。
一五 夏の祭り
七夕祭りの内容を小別けしてみると、鎮花祭の後すぐに続く卯月八日の花祭り、五月に入っての端午の節供や田植えから、御霊・祇園の両祭会・夏神楽までも籠めて、最後に大祓え・盂蘭盆までに跨っている。夏の行事の総勘定のような祭りである。