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みずしちけい

水七景

小川 未明

「童話読本」1948(昭和23)年9月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 2,631 字 · 6 页

青空文庫

*

村から、町へ出る、途中に川がありました。子どもは、お母さんにつれられて、歩いていました。

橋をわたりかけると、子どもは、欄干につかまり川を見おろしました。水が、あとから、あとから、流れてきて、くいにぶつかっては、うずをまき、ジョボン、ジョボン、と、音をたてていました。子どもは、ふしぎそうに、それを見まもり、

「お母ちゃん、水が、なにかいっていますね。」と、いいました。

「早く、道草をとらんで、いらっしゃいと、いっているのですよ。」と、お母さんは、答えました。

「この水は、どこまでいくの。」

「そうですね、村や、町を通って、海へいくのですよ。」

二人は、話しながら、また、歩きだしました。岸の、ねこやなぎは、まだ赤いずきんをかぶって、ねていました。

*

今年の、遠足は、昔の、城あとを見にいくのでした。

ぼくたちは、田んぼの、小道を歩いて、森のある村を通り、そして、さびしい小山のふもとへ出ました。

そこが、城あとでありました。わずかにのこるものは、当時、とりでにつかったという、青ごけのはえた、大きな石と、やぶにかくれた、池くらいのものです。