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みずごもり
水籠
伊藤 左千夫
「ホトヽギス 第十一卷第二號」1907(明治40)年11月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,600 字 · 10 页
「なるほどそうだ、よいあんばいだ。天気にはなるし、少しずつでも水が引けば寝ても寝心がいい」
「さっきおとっさんおもしろかったよ。ネイおっかさん、ほんとにおかしかったわ、大きな鰻、惜しい事しちゃったの、ネイおっかさん……」
「お妙さん、鰻がどうした」
「鰻ネ、大きい鰻がね、おとっさん、あの垣根の杭のわきへ口を出してパクパク水を飲んでいるのさ。それからどうして捕ろうかって、みんなが相談してもしようがないの。それからおふじが米ざるを持ち出して出かけたら、おふじが降りるとすぐ鰻はひっこんでしまったの。ネイおふじ、網ならどうかして捕れたんだよ」
「そうか、そりゃ惜しいことをしたなア、蒲焼にしたら定めて五人でたべ切れない大きいものであったろう。おとっさんに早くそう言えばよかったハヽヽヽ」
「おとっさんうそでないよ、ネイおふじ、ほんとネイ、おっかさんも見ていたんだよ」
おふじは腰巻きのぬらし損をしてしまったけれど、そのついでに火を起こしたから、鉄瓶の湯が早く煮立った。それでは鰻が火を起こしたわけじゃないかと、予が笑えば、木綿子までが人まねに高笑いをする。住宅の病気も今日はやや良好という日じゃ。