轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
えがわらんこ
江川蘭子
江戸川 乱歩
「新青年」博文館、1930(昭和5)年9月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,151 字 · 23 页
「君、あの爺さんの娘かい」
ある時、別宅の広間で、老人が洗面所へ立った留守に、ソーダ水を呑みながら四郎が尋ねた。彼は日本の不良少年の言葉を使った。
「そうじゃない。あたしお爺さんのオメカケよ。それを聞いて、もうあたしと遊ばなくなる?」
「遊ぶことは遊ぶけれど、君、あんな豚爺さん好きなのかい」
「嫌いでもないわ、でも、あんた程好きでもないわ」
「うまく云ってら。僕はお金がないからね」
「じゃ証拠を見せたげましょうか。あんたの方が好きだって云う」
「ウン」
四郎はうさん臭い顔をして生返事をした。
ラン子はテーブルの上にコップを三つ並べて、ソーダ水を注いだ。それから、洋服の胸から小さな紙包みを取出して四郎に渡した。
「このコップのどれか一つに、その薬を入れて、かき廻すのよ」
四郎は紙包みを開いて、白い粉を一寸甞めて見て、顔をしかめた。
「苦いね」
「エエ、苦いわ」
「誰に呑ませるのだい」
「お爺さん!」
「ホウ……」
四郎はさも驚いた様な、おどけた顔をして見せたが、その実は、芯から恐がっているらしく、持っている薬の紙がブルブル震えていた。
「早くしないと、今にお爺さんがやって来るわ」