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えどのかじゅつ
江戸の火術
野村 胡堂
在线阅读野村 胡堂《江戸の火術(えどのかじゅつ)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,929 字 · 36 页
そう言う男の子の掌を見ると、キラリと小粒が一つ、お静の繁代は、半十郎に追われると知って、里の子に違った道を教えさしたのでしょう。
「よしよし」
井上半十郎は、強いてもとがめず、其儘光明村の方へ、秋葉山の近道を取って進みました。
この辺から、半十郎の胸は予感に波打ちます。心なしか、行手の藪蔭、木立の隙間、百姓家の角などに、時々チラと若い女の後ろ姿を見掛けるような気がしたのでした。
「あッ、繁代殿」
遂に追い付きました。光明山の麓道、滅多に人の通りそうもないところで、ツイ五六間先を、お静の繁代が歩いているのを見付けたのです。
「あッ」
驚く繁代、振り返った顔は、痣の痕もなく、玲瓏として輝くばかり、
「待った、言うことがある」
飛び付いた半十郎の手が、危うく女の帯に掛ろうとするところを、
「何をしやがるッ、巫山戯た野郎だッ」
横合から飛込み様、二人の間を距てたのは、江戸者らしい旅人が三人、半十郎の弁解に耳も仮さず、道中差を引っこ抜いて斬ってかかったのです。
「あッ、理不尽、その女にはわけがある、邪魔立てすな」
辛くもかわして、繁代を追いますが、後から迫る道中差が三本、執念く絡んで女を追わせません。