轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

かごつるべ

江戸情話集

岡本 綺堂

岡本綺堂『江戸情話集』。同一底本的分册已合并为一书。收入:籠釣瓶、箕輪心中、両国の秋、心中浪華の春雨、鳥辺山心中。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 203,779 字 · 407 页

青空文庫

「大変。姐さんが舞台で倒れて……」

ふたりも飛び上がって舞台へ駈け出した。

二

向う両国の観世物小屋でこんな不意の出来事が人を驚かしたのは、文化三年の江戸の秋ももう一日でちょうど最中の月を観ようという八月十四日の昼の七つ(四時)下がりであった。座がしらのお絹が舞台で突然に倒れたので、見物も楽屋の者も一時は驚いたが、お絹はすぐに楽屋へ担ぎ込まれた。あとは前芸のお花がすこし繋いでいて、それから太夫病気の口上を述べて、いつもより早目に打ち出した。

お絹がほんとうに人心地の付いたのはそれから半ばかりの後で、医者はやはり暑気あたりだといった。しかし、さのみに心配するほどのことはない、こうして静かに寝かして置けば自然におちつくに相違ないと気つけの薬をくれて行った。はじめは非常に驚かされた木戸の者も楽屋の者もこれで漸くおちついて、見舞の口上などをいってだんだんに帰った。

お絹はもう目をあいていたが、それでもすぐに起きる元気はなかった。枕もとには前芸のお花と小女のお君のほかに地弾きのお辰と楽屋番の豊吉とが残っていた。楽屋にはほかにもう一人お若という前芸の女がいるが、これも暑気あたりで二、三日前から休んでいた。