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えどすいりせんりゅうしょう

江戸推理川柳抄

海野 十三

「旬刊ニュース」1948(昭和23)年11月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,774 字 · 4 页

青空文庫

推理川柳とは、私が仮りにつけた名称であって、推理を含んだ川柳という意味である。

雷も雀がなけばしまいなり

この句の味い方を、推理川柳の立場からしてみると、「雷があばれているうちに、雀が鳴きはじめると、もう雷鳴はおしまいになると推理してよろし」というわけ。この法則は、雷嫌いの多かった江戸時代の人々にたいへん重宝がられたことであろう。「あッ、雀が鳴きだした。もう雷さまは行ってしまうぞ。やれやれ」と、蚊帳から匐い出す。

この句の扱っている内容が、推理川柳の好見本だとはいわない。もっといい推理川柳が少からずある。しかしこの雷と雀の鳴き声の如き取扱いをしている句は、江戸川柳の中に至るところに散見する。

これを、一種の勘として認めたこともあるようだが、本当はやっぱり推理である。そして江戸人は、駄洒落や地口と同じ好みの方向において、こうした市井生活に関係の深い勘――実は真理を摘発することに大きな興味を持っていたものと思われる。

男湯を女がのぞく急な用

焼香を先へしたので後家と知れ

合羽やへ馬かたが来りゃさむく成り

にげしなに覚えていろはまけたやつ

内談と見えた火鉢へ顔をくべ