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えどすいりせんりゅうしょう

江戸推理川柳抄

海野 十三

「旬刊ニュース」1948(昭和23)年11月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,774 字 · 4 页

青空文庫

飛びこんでこようが煤の仕廻い也

あがるなといわぬばかりの年始状

油屋のかいで出すのは値が高し

晴天に持って通るはかりた傘

中腰で割るのがまきの仕廻い也

引出をひんぬいて来る急な用

時々顔をちょぴっと見るほれたやつ

通りぬけ無用で通りぬけが知れ

このように並べて来た句は、同じ傾向の推理川柳である。これらの句の作者は、岡っ引に転向しても、きっとうまく勤めおおせたことであろう。いや、いや大岡越前守ぐらいにはなれる素質があると褒めても、褒めすぎはしまい。

右の句より、やや高級な推理川柳がある。それを少々挙げてみよう。

橋の番てっきり投げた水の音

風鈴のせわしないのを乳母と知り

井戸がえは深さを横に見せる也

此頃はつくるに亭主気がつかず

よい娘なんのいしゅだか悪くいい

試みにつめってみればむごん也

桐の木のもくで娘の年が知れ

あれを呼ぶ気だよと伯父が星をさし

雁列をみだしてばれる村出合

乳の黒み夫へ見せて旅立たせ

若いごぜ壁をさぐって一つぬぎ

ひとりでに釣瓶のさがる物すごさ

これらの句は、推理川柳として上乗の作品であると思う。

中にも「橋の番てっきり投げた水の音」は断然光っている。その水音を身投げと聞き分けるには技術が要る。