轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

くつかけより

沓掛より

寺田 寅彦

「中央公論」1933(昭和8)年10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,751 字 · 18 页

青空文庫

そうしているうちに潮のさして来るように次第に興が乗り、次第次第に気合いがかかって来るのが、見ていてもおもしろいものである。

おかっぱに洋装の女の子もあれば、ズボンにワイシャツ、それに下駄ばきの帳場の若い男もある。それが浴衣がけの頬かぶりの浴客や、宿の女中たちの間に交じって踊っている不思議な光景は、自分たちのもっている昔からの盆踊りというものの概念にかなりな修正を加えさせる。それに蓄音機のとる音頭の伴奏の中には、どうも西洋楽器らしいものの音色が交じっているらしい。これも盆踊りの進化の一つの相である。そうして日本現代の一つの象徴でもある。

蓄音機がぱたりとやむと、踊り子たちの手持ちぶさたを紛らすためにだれかが歌いだす。それに合わせて皆が踊り始めると途中で突然また蓄音機の音が飛び込んで来る。所かまわず歌の途中からやにわに飛び込んで来るので踊り手はちょっと狼狽してまた初手からやり直しになる。すると、拡声器の調節が悪いためか、歌がちょうど咽喉にでも引っかかるようにひっかかってぷつりぷつりと中断する。みんなが笑いだす。そういうことを何度も繰り返していた。

十五日の晩は雨でお流れになるかと思ったらみんな本館の大広間へ上がって夜ふけるまで踊り続けていた。