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たくあん
沢庵
北大路 魯山人
「星岡 38号」星岡窯研究所、1934(昭和9)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 513 字 · 2 页
たくあんの話をしてみよう。
今日食べたたくあんは、加賀の山代でできたものである。わたしの知っているかぎりでは、山代産のたくあんが一等よいものだと思う。これは、だいこんが寒国でできたことが主なる原因だが、山代のは他のコツもあって伊勢のものとも違う。伊勢のも種類があり、いいものだが、山代のには及ばない。伊勢は産業として、大量に生産しているので、山代のようなウブなうまさはない。五十年も前には、山代のようなうまさもあったようだが、しかし、伊勢のもぬかが多いので、それだけのうまさはあるといえよう。
山代のも、多量のぬかを使っていて、ぬかの中からたくあんを掘り出す感があるが、このようにぬかを多く使用することは、うまいたくあんを作るコツである。
東京のたくあんの漬け方は、黄色の色素でカムフラージュされていて、うまくない。これは明らかにぬかの少ないせいだといえよう。
ついでにいうと、やさいでも、魚でも、総じて寒帯地方のものがよい。北海道で獲れるさけ、ます、にしん、棒だらが美味であることなど、その一例である。
一概にはいえないが、暖地で間違いないのはくだものであろう。