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野村 胡堂
「小説の泉」1949(昭和24)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,176 字 · 28 页
佐々村村一は少し反り身に、昂然として言い切りました。
「では、どうしてそんな事を発表なさるのです、相手の方も迷惑することだろうし、貴方も危険に曝されるではありませんか」
「いや、相手の夫人――阿修羅は、四人目の妾の告口で、悪魔的な夫に一切のことを知られて居るのですから、斯う打ち明けたところで迷惑を感ずる筈は無く、反って喜んで居るのかも知れないのです。私の危険など、素より問題ではありません、私が斯う打ち明けることによって、私共の愛が、阿修羅が軽蔑して居たにも拘らず、飛んだプラトニックなものであったということがわかって、阿修羅の夫も安心することでしょう」
「――――」
佐々村村一に言い伏せられて、茶谷会長は黙ってしまいました。
「それから、証拠が聴き度いと言われるなら、言ってしまいましょう、これは彼女――阿修羅も気が付かなかったかも知れませんが、――最後の晩ライターの光で、突嗟の間に私は彼女の大きな目印を見てしまったのです」
「?」
「彼女の額――広い美しい額の、丁度阿修羅王の木像の三つ目の眼のあるあたりに、赤い小さい紅石のようなほくろがあった筈です」
「――――」