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〔『しなしそうとにほん』しょはん〕まえがき
津田左右吉歴史論集
津田 左右吉
津田左右吉『津田左右吉歴史論集』。同一底本的分册已合并为一书。收入:〔『支那思想と日本』初版〕まえがき、学究生活五十年、建国の事情と万世一系の思想、偶言、芸術と国民性、芸術と社会、歴史の学に於ける「人」の回復。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 79,004 字 · 156 页
社会科学が社会現象を取扱うものであるとすれば、その社会現象は歴史上の事象でないものはないからである。ところが、歴史の学をこういう社会科学もしくはその一部面として見るような考えかたのあるのは、一つはヨウロッパの学界における或る傾向に追従したのであり、一つは唯物史観の流行に伴うことでもあったが、また一つは歴史を学問的に研究するという態度が横みちに外れてかかる方向をとったという事情もあろう。学ということを科学と同義語に解すると共に、科学といえば自然科学を想起し易いことが、その自然科学から導かれて形成せられたところがあったと推測せられる社会科学というものに心を傾けさせた、と見られるのである。あるいは科学という語に魅力を感じたのでもあろう。歴史を知るには或る限界内において学問的研究をしなければならず、その意味において歴史学という称呼が用い得られるので、この学に関して方法論の講ぜられるのもそのためであるが、その方法論、特に史料の取扱いかたに関するものにおいては、歴史が「人」の生活であることを忘れ、ともすれば機械的な方法に堕する虞れのあるものがある。こういう傾向をもった史学の研究に慣らされたものが、社会科学というものに心を移すのは自然だともいわれようか。