轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
りゅうせんスパイ
流線間諜
海野 十三
「つはもの」1934(昭和9)年~1935(昭和10)年頃
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 34,982 字 · 70 页
帆村は再び耳を澄ました。さきほどまで確かに聞えていたと思った話声はもう聞えない。だがどうやら、あの輝く鉄格子の下に部屋があるらしい。――帆村はそこで意を決するとソロソロと格子の方へ躙り寄った。
「おう、部屋――」
果してその下には四坪ほどの小室があった。机や椅子や戸棚などが所狭いほど置かれているところを見ると、事務室であることに間違いがない。格子の真下には大きな事務机があり、その前には空っぽの廻転椅子が一つと、その横にも空っぽの椅子が一つ、抛り出されたように置かれてあった。さっきの話し手は、この一つの椅子に坐っていたものに違いない。ではこの廻転椅子にいたのは誰だったか。またも一つの椅子の客は何者だったろうか? いずれにしてもそれは敵のものには違いない。
そこで帆村は注意深く机の上を隅から隅まで観察した。机上には本や雑誌が散らばっているが、その壁に近く、開封した封筒とその中から手紙らしいものが食み出しているのを見つけた。
それは忽ち帆村の所有慾を刺戟した。
「あれが吾が手に入ったらなァ」
だが鉄格子はどこで打ちつけてあるのか、ビクリとも動かない。だから格子を外して降りようたって簡単にはゆかない。