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りゅうせんスパイ
流線間諜
海野 十三
「つはもの」1934(昭和9)年~1935(昭和10)年頃
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 34,982 字 · 70 页
そして入口の扉をピタリと鎖し、ピーンと鍵をかけた。
帆村を背負った怪漢は何処へゆく?
漫画の暗号
怪漢の肩に担がれた探偵帆村は、多量の出血のために頭がボンヤリしていた。ときどき頭が柱か壁のようなものにドカンと衝突すると、ハッと気がつくのであった。あるときは階段をガタガタ駈けのぼっているようだし、あるときは狭いトンネルのような中をすれすれに潜りぬけていたようだった。それ等はほんの瞬間の記憶だけで、あとはまた精神が朦朧としてしまって覚えがない。
「さあ、もう大丈夫!」
そういう声がして、彼はドンと地上に下ろされたところで、再び意識が戻った。たいへんに冷い土の上であった。ピューピューと寒い風が吹きつけるので、彼はワナワナと慄えだした。
「さあ、もう安全なところまで来ましたよ、帆村さん」そういって怪漢は、帆村の破れた服をソッと合わせながら、
「さあ、それでは私はお暇しますよ。では」
「待って下さい」
と帆村は苦痛を怺えながら叫んだ。
「き、君は誰です、僕を助けて下すって……」
「いいえ、お礼はいりませんよ。私は貴方に助けてもらったことがあるので、ちょっと御恩がえしをしただけです。