轻松读懂日语经典作品
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りゅうせんスパイ
流線間諜
海野 十三
「つはもの」1934(昭和9)年~1935(昭和10)年頃
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 34,982 字 · 70 页
隠しインキ
帆村探偵の熱心によって、とにかく暗号は解けたけれど、その暗号の意味まで解けたわけではなかった。帆村はW大学の図書館の閲覧室をあっちへ歩きこっちへ歩き、灼けつくような焦躁の中に苦悶したけれど、どうにも分らない。アラスカのウェールス岬がどうしたというのだ。カムチャッカのデジネフ岬がどうしたというのだ。どっちも日本の土地ではない。だから日本に関係ないはずだ。しかし日本に関係のないことを、某国の参謀局がわざわざ日本にいる密偵長に知らせてくるのはどうも合点がゆかないことだった。どう考えてみても、なにか日本と関係があるにちがいない。さあ、それは一体どんなことだ?
結局帆村探偵が到着した結論では、
――この漫画の暗号だけがこの密書の中に書かれている通信文の全体ではない!
ということだった。別の言葉でいうと、この密書には、もっと沢山の言葉が並んでいなければならぬ筈だということだった。
もっと沢山の言葉! それは一体どこに記されてあるのか。レターペーパーの裏をかえし表をかえしてみたが、それ以上の数の文字は何処にも発見できなかった。――帆村はまるで迷路の中に路を失ってしまったように感じた。