轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
あざらしとう
海豹島
久生 十蘭
「大陸」1939(昭和14)年2月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 24,311 字 · 48 页
私は起きあがるのも懶くなり、木箱を並べた寝台にひっくりかえって吹雪の音をききながら、この三日以来の問題を考えてみた。
この島に人間が潜み得ないとすれば、簪の主は死んだと思うほかはないが、すると死体はどうなったのだろう。五人の焼死体だけがあって、なぜ簪の主の死体がないのか。
昨夜、狭山は残留以来の島の生活を物語ったが、そのうちにはとるにも足らぬような些細な事柄が多かったのである。この島に若い娘がいて、それがここで死亡したというのはこの島としては花々しい事件で、当然、話題にのぼせなければならないはずなのに、ひと言もそれには触れなかった。いろいろと考えているうちに、その娘は一月四日以前に殺害されたと信ずるようになった。
一九〇三年に英国で公表された「スウェルドルップの告解」(Confession of Swelldorepp, London)は、北極クングネスト島探検の際、ジョンス湾に残留したフラム号の乗組員十名が、一人の婦人を争って、全滅に瀕した惨劇の記録である。二名は発狂し、他の八名は猛獣のように殺傷しあった。その中に二組の父子がいたのである。争闘ははてしなくつづき、全員、死滅するかと思われた時、ひとりの気丈な船員は、生き残った同僚の命を救うために、ひそかにその婦人を絞殺し、死体を海中へ投げこんでしまっ