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りゃんちん

涼亭

田中 貢太郎

――序に代へて――

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,140 字 · 15 页

青空文庫

蝗が雲のようにこの村へやって来た時にも、先生はここにおりましたな。久しいもんじゃ、辛抱がええ。張公の媽媽の気違いも、先生の足許にゃ寄れないぞ。

蒲留仙 うむ……、うむ……、張公の媽媽か。

蒲留仙は雁首の大きな煙管に淡巴菰を詰めかえながら相手にならないので、村の男は歩きだした。

村の男 やれ、やれ、御苦労なことじゃ。茶と淡巴菰の接待をして、蛇の色女に嘗められるような話を聞こうというのじゃ。

二人の旅人が下手から来て、涼亭の口で村の男と擦れ違って入って来る。その一人の甲は、菰で包んだ量ばった四角な包を肩に乗せ、乙は小さな竹篭を右の手に持っている。蒲留仙の眼はその旅人へといく。

蒲留仙 ああ、旅の方だね、暑かったろうね。休んでいったらいいだろう、茶も淡巴菰もあるから、あげるよ。

旅人甲は、蒲留仙の方を見てから会釈をする。

旅人甲 ありがとうございます。【それから乙の顔を見る】休ましてもらおうじゃないか。

旅人乙 よかろう、一ぷくさしてもらおう。

旅人の二人は蒲留仙の向いへいって、荷物を置き、笠を除って腰をかける。蒲留仙は煙管を置いて、柄杓を持ち、壷の中の茶を二つの碗に入れる。