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しんざんのあき

深山の秋

小川 未明

「真理」1935(昭和10)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,725 字 · 10 页

青空文庫

」

そう思って、雲の姿をながめていると、自分の知るかぎりの山にすむ獣物も、小鳥も、みんな空の雲の一つ一つに見ることができるのでありました。それらは、楽しく、仲よくして、神さまの前に遊んでいました。

彼は、この不思議な有り様を、岩の上でじっと見上げていました。

「ああわかった。私も年を老ったから、せめて達者のうちに、一度、みんなとこうして遊んでみよと、神さまがおっしゃるにちがいない。」

こう思いつくと、老いざるは、悲しそうに一声高く、友だちを呼び集めるべく、空に向かって叫んだのです。

いつしか、空の雲は、どこへか姿を消してしまいました。もし、気がつかなかったら、永遠に知られずにしまったような、それは、はかない天の暗示でありました。

老いざるの叫び声をききつけて、すぐにやってきたのは、近くのくるみの木に上っていたりすであります。

「どうしたのですか、さるさん、なにか変わったことでも起こったのですか?」と、ききました。

この年老ったさるは、この近傍の山や、森にすむ、獣物や、鳥たちから尊敬されていました。それは、この山の生活に対して、多くの経験を持っていたためです。