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ふかがわにょうぼう

深川女房

小栗 風葉

「新小説」1905(明治38)年3月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 28,597 字 · 57 页

青空文庫

家にいず、それで月々仕送りは来て、毎日遊んで食って寝るのが為事としたら、ちょいとこう、浮気の一つも稼いで見る気にならねえものでもなかろう」と腰をさすりさすり病人厭言を言う。

お光は済ましたもので、「そうね、自分がなって見ないことにゃ何とも分りませんね」

と、言っているところへ、階子段の下から小僧の声で、「お上さん、お上さん」

「あいよ。何だね、騒々しい!」

「お上さん!」

「あいよったら!」

小僧はついにその返事が聞えなかったと見えて、けたたましく階子段を駈け上って来て、上り口からさらに、

「お上さん!」

「何だよ! さっきから返事をしてるじゃないか」

「そうですか」と小僧は目をパチクリさせて、そのまま下りて行こうとする。

「あれ、なぜ黙って行くのさ。呼んだのは何の用だい?」

「へい、お客様で……こないだ馬の骨を持って来たあの人が……」

「何、馬の骨だって?」と新造。

「いいえ、きっとあの金さんのことなんですよ」

「ええ、その金さんのことなんで」

「金さんだなんて、お前なぞがそんな生意気な口を利くものじゃない!」

「へい」

お光は新造に向って、「どうしましょう、ここへ通しましょうか?」