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ふかがわにょうぼう

深川女房

小栗 風葉

「新小説」1905(明治38)年3月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 28,597 字 · 57 页

青空文庫

とお光はもうオロオロしている。

「尿毒性であると、よほどこれは危険で……お上さん、私は気安めを言うのはかえって不深切と思うから、本当のことを言って上げるが、もし尿毒性に違いないとすると、まずむずかしいものと思わねばなりませんぞ!」

「…………」

「とにかく、ほかの医者にも見ておもらいなさい、私ももう二三日経過を見て見るから」

「はい」

「今日から薬が少し変るから、そのつもりで」

「はい」

医者は帰った。お光は送り出しておいて、茶の間に帰るとそのままバッタリ長火鉢の前にくずおれたが、目は一杯に涙を湛えた。頬に流れ落ちる滴を拭いもやらずに、頤を襟に埋めたまま、いつまでもいつまでもじッと考え込んでいたが、ふと二階の呻り声に気がついて、ようやく力ない体を起したのであった。が、階子段の下まで行くと、胸は迫って、涙はハラハラととめどなく堰き上ぐるので、顔を抑えて火鉢の前へ引っ返したのである。

で、小僧を呼んで、「店は私が見てるからね、お前少し二階へ行って、親方の傍についておいでな」

「へい、ただついてりゃいいんですか?」

「そんなこと聞かなくたって……親方がさすってくれと言ったらさすって上げるんじゃないか」