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せいしんあん

清心庵

泉 鏡花

「新著月刊」1897(明治30)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,494 字 · 26 页

青空文庫

)

あれで威勢がおあんなさるから、どうして、屹と、おからだがすわると、すくんじまわあね。でもさ、そんな分らないことをおっしゃれば、もう御新造様でも何でもない。

(他人ならばうっちゃっておいておくれ。)

とこうでしょう。何てったって、とてもいうことをお肯き遊ばさないお気なんだから仕ようがない。がそれで世の中が済むのじゃあないんだもの。

じゃあ、旦那様がお迎にお出で遊ばしたら、

(それでも帰らないよ。)

無理にも連れようと遊ばしたら、

(そうすりゃ御身分にかかわるばかりだもの。)

もうどう遊ばしたというのだろう。それじゃあ、旦那様と千ちゃんと、どちらが大事でございますって、この上のいいようがないから聞いたの。そうするとお前様、

(ええ、旦那様は私が居なくっても可いけれど、千ちゃんは一所に居てあげないと死んでおしまいだから可哀相だもの。)

とこれじゃあもう何にもいうことはありませんわ。ここなの、ここなんだがね、千ちゃん、一体こりゃ、ま、お前さんどうしたというのだね。」

女はいいかけてまた予が顔を瞻りぬ。予はほと一呼吸ついたり。

「摩耶さんが知っておいでだよ、私は何にも分らないんだ。