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せいひんのしょ

清貧の書

林 芙美子

「改造」1931(昭和6)年11月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,061 字 · 36 页

青空文庫

私は与一の手紙が来てから、朴の紹介で、気合術診療所の娘と、朝早く屑市場へ浅草紙を造る屑を択りに通った。

日暦を一枚一枚ひっぺがしては、朝の素晴しく威勢のいい石油コンロの唸りを聞いて、熱い茶を啜る事が、とても爽やかな私の日課となった。

第七番目、第八番目、第九番目、山の兵営からの手紙は頬を染めるような文字で埋っている。――吾木香すすきかるかや秋くさの、さびしききはみ、君におくらむ。とても与一の歌ではあるまい。だが眼の裏に浸みる歌のひとふしではあった。

(昭和六年十一月)