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せいぞうとぬま

清造と沼

宮島 資夫

「赤い鳥」赤い鳥社、1928(昭和3)年1月号

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 5,864 字 · 12 页

青空文庫

清造はそのふるびたさびしい沼のふちに、たったひとりで遊んでいました。沼にはあしやよしの黄色い茎が枯れてかさなりあっているところや、青黒い水が、どんよりと深くよどんでいるような場所がありました。水鳥がむれて泳いでいる時も、あめんぼが勢いよく走っている時もありました。しかし清造には、この沼のあたりが、一番しずかでだれにもいじめられずに遊んでいられる場所だったのです。

清造はさびしくなると立ちよって、沼に石を投げこみました。すると、やがて大きなあわがひとつぽっくりと浮かんで、ぽっと消えると、後からまた、小さなあわが、ぶくぶくと、たくさん浮かんできます。これはなんだか、沼が清造に話をでもするように思われました。だから清造は、沼のふちに遊びにきて帰る時には、かならず石を一つ投げこんであわがすっかり浮かびきるまでながめてから、自分の家に帰るのでした。

ことしの夏、この山奥の小さな村に悪い病気がはやった時、清造の両親は一時に病気のためになくなりました。まだやっと十三になったばかりの清造は、悲しみとさびしさの中にとほうにくれてしまいました。

秋になって、百姓仕事が、少しせわしくなってから、清造は、近所の家に手伝いにいって食べさせてもらっていました。