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みなとについたくろんぼ

港に着いた黒んぼ

小川 未明

「童話」1921(大正10)年6月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 6,903 字 · 14 页

青空文庫

そして、そこに、一人の少年が草の上にすわって、笛を吹いているのを見ました。

白鳥は、少年に近づきました。

「どうして、こんなところに、たった一人で笛を吹いているのですか。」とたずねました。

盲目の少年は、やさしい声で、だれかこうしんせつに聞いてくれましたので、少年は、姉が自分をここに置いて、どこへかいってしまったことをありのままに告げました。

「ほんとうに、かわいそうに。わたしが、姉さんにかわってめんどうを見てあげます。わたしは、子供をなくした白鳥です。これから、あちらの遠い国へ帰ろうと思っています。二人は、南の国へいって、波の穏やかな岸辺で笛を吹いたり、踊ったりして送りましょう。わたしは、いまあなたをわたしとおなじ白い鳥の姿にしてあげます。海を越え、山を越えてゆくのですから……。」と、白鳥はいいました。

ついに、盲目の少年は、白い鳥となりました。夜のうちに、二羽の白鳥は、このさびしい、暗い広場から飛びたって、ほんのりと明るく、空を染めた港を見下ろしながら、その上を過ぎて、遠くいずこへとなく、消え去ってしまったのであります。後には、空に星が輝いていました。