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みなとについたくろんぼ
港に着いた黒んぼ
小川 未明
「童話」1921(大正10)年6月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 6,903 字 · 14 页
波は、昔からの、物憂い調子で、浜に寄せては返していました。
姉は、あてもなくそれらの景色をながめ、悲しみに沈みながら、弟をさがしていました。けれど、弟は、どこへいったのかわかりませんでした。
一日、この港に外国から一そうの船が入ってきました。やがて、いろいろなふうをした人々が、港の陸へうれしそうに上がってきました。なんでも、南の方からきたので、人々の姿は軽やかに、顔は日に焼けて、手には、つるで編んだかごをぶらさげていました。それらの群れの中に、見なれない、小人のように脊の低い、黒んぼが一人混じっていました。
黒んぼは、日当たりの途を歩いて、あたりを物珍しそうに、きょろきょろとながめながらやってきますと、ふと、町角のところで、うす青い着物をきた娘に出あいました。娘は黒んぼを、物珍しそうに振り返りますと、黒んぼは立ち止まって、不思議そうに、娘の顔を見つめていましたが、やがて近寄ってまいりました。
「あなたは、南の島で、唄をうたっていた娘さんではありませんか。いつ、こちらにこられたのですか。私は、あちらの島をたつ前の日に、あなたを、島で見ましたはずですが。