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げんぞうがはら
源蔵ヶ原
山本 周五郎
「週刊文春」文藝春秋新社、1962(昭和37)年12月17日号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,843 字 · 28 页
のは、大川へ身を投げて死んだっていうことだ、――ここにいる五人が知っているのはそれだけなんだ」
又次郎は膝で貧乏ゆすりをしながら、手酌でせかせかと飲み、宗吉は腕組みをして自分の膳の上を見まもっていた。のろは酒好きではないとみえ、ときたま盃を取るが、一杯の酒をあけるのに、三くちか四くちかかった。
「まださびい」とのろは口の中で呟いた、「おっそろしくさびい晩だぜ」
忠太はのろを睨んでから、言葉を続けた、「――おめえはおれたちとは立場が違う、お光ぼうとは夫婦約束をした人間だ、二月におれたちの前で約束してから今日まで、二人の中にはおれたちの知らねえことが幾らもあったろうと思う、とすれば、お光ぼうがどうして死んだのか、しかも大川へ身を投げるような、哀れな死にかたをどうしてしなければならなかったか、おめえなら知っているんじゃねえかと思う、もし知っているんなら、おれたちに聞かしてもらいたいんだ」
「ちょっと」と宗吉が腕組みの手を解き、その手を膝におろして云った、「おめえが返辞をするまえに云っておくことがある、――いいか泰二、ここにいるみんなが初めてこのうちへ飲みに来て、初めてお光ぼうに会った