轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
げんぞうがはら
源蔵ヶ原
山本 周五郎
「週刊文春」文藝春秋新社、1962(昭和37)年12月17日号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,843 字 · 28 页
盃を指さして、「よくわからねえんだが」とみんなの顔を見まわしながら云った、「――この酒、どういうことになるんだい、おらあからっけつで来ちゃったぜ」
「珍しいことを聞くもんだ」と忠太が云った、「いつもは胴巻にずっしり持ってるのか」
又次郎は市三と宗吉の顔を見た。どちらも知らぬそぶりで、忠太の云ったことなど聞きもしなかった、というようにみえた。
「のろがやって来て」と又次郎は呟くように云った、「ここへ早くこいって云うもんだから、おらあこのとおり仕事着のままとんで来ちゃったんだ」
「いいんだったら」と宗吉が手を振った。
「飲めよ」
「心配するな」と忠太が云った、「割前を取ろうたあ云わねえから」
又次郎は口へもってゆきかけた盃を止め、忠太を見て、おめえの奢りかときいた。
「気になるのか」と忠太が反問した。
「ならなくってよ」と又次郎がやり返した、「おらあ、昔っからいつもぴいぴいだった、いまでもぴいぴいだ、けれども集まって飲むときに、割前を出さなかったこたあいちどもなかった筈だぜ」
「もう始めるのか」と宗吉が遮った、「おめえたち二人は顔を見るなりいつもそれだ、よく飽きねえもんだな」