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げんぞうがはら
源蔵ヶ原
山本 周五郎
「週刊文春」文藝春秋新社、1962(昭和37)年12月17日号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,843 字 · 28 页
ばばあがやりそこなったのがもとで死んだんだ」
「放せよ」と忠太が身をもがいた。
「もうちっとだ」と市三が云った、「話は長くはかからねえ、じっとしてろ」
「のろ」と宗吉が云った、「そんならなぜ、大川へ身投げをしたなんて云ったんだ」
「あとを聞いてくれ」とのろは云った、「おれがおっちょこちょいな人間だってことは、ここにいるみんなが先刻ご承知だ、慥かに、おれはおっちょこちょいだし、のろと云われてよろこんで追いまわされてる人間だ、のろ、忠太はそこに眼をつけたんだ」
「おれがどうしたって」と忠太。
「へたな口をきくな」と云って、市三は腕に力をいれた、「すぐに済むからじっとしてろ」
「おれがどうしたってんだ」
「自分で知ってるだろう」とのろは云った、「七月の下旬、おめえはこの源蔵ヶ原で、お光ぼうをてごめにしたそうじゃねえか、泰さんが来ているからと嘘を云ってさそいだし、そこのもちの木の下で、――かんにんしてくれって泣いて頼むお光ぼうをよ」
「じたばたするな」市三がもっと力をいれて忠太の腕を捻じあげた、「のろ、あとを続けろ」
「そんな非道なことでも児はできる、女ってなあ悲しい