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えんぎしどうろんそうあん

演技指導論草案

伊丹 万作

「映画演出学読本」1940(昭和15)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,562 字 · 27 页

青空文庫

○演技指導とは演出者が「俳優たちの」肉体を介して、作中人物の創造に参与し、これを具体化し完成せしむることによって自己を表現せんとする手続きをいう。

○演技指導は行動である。理論ではない。

○読書の中から演技指導の本質を探り取ろうとするのは地図をにらんで戦争を知ろうとするようなものだ。いくらにらんでも地図は地図だ。戦争ではない。

○演技指導の方法論に関して私にできるただ一つのことは、その具体的な手続きのうちに比較的法則めいたことを発見してこれを書きとめるということだけだ。

○法則というものに対する信頼にはおのずから限界があるべきを忘れてはいけない。

「美のためには破ってはならない法則は存在せぬ。」(ベートーヴェン)

○法則とは自分が発見したら役に立つが、人から教わるとあまり役に立たぬものだ。

○演技指導の本質の半分は「批評」である。

○演技指導について少し広義に記述しているといつかそれは演出論になる。

○演技指導について少し末梢的に記述しているといつかそれは演技論になる。

○自信と権威ある演技指導というものはすぐれた台本を手にしたときにだけ生れるものだ。作のくだらなさを演技指導ないし演出で補うなどということはあり得べきこととは思えない。