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かせいたんけん
火星探険
海野 十三
「サイエンス」1945(昭和20)年12月~1946(昭和21)年11月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 77,522 字 · 155 页
張は死んだのではない。
三人の少年たちは安心をして元気づいた。張の怪我したところを調べてみると、それは左の上膊(上の腕)を何かでひどく引裂いていた。傷はいやに長く、永く見ていると脳貧血が起りそうであった。河合は、箱自動車の方へとんで帰って、救急袋を持ち戻った。そこでとりあえず張の腕を包帯でしばって血どめを施したが、それはうまくいかないと見え、せっかく巻いた包帯がすぐまっ赤になった。
「ううッ、痛いよ、痛いよ……」
張は蒼くなって痛みを訴えた。
三人は困った顔をした。ほんとうのお医者さまにみせる外ないのであろう。三人は張をかつぎあげて、崖をよじのぼり、箱自動車のうしろをあけて、折りたたんだ天幕の上に張を寝かした。傍にはネッドをつけ、山木と河合とは再び運転台に乗って道路を全速力で走り出した。早くどこかの町へとびこんで、張をお医者さまにみせて手当をうけなければならない。
それから四キロばかり行った先に、小さな町があり、そして医院があった。張をその中へかつぎこんで手当をうけた。傷の中から硝子の破片が大小七つも出てきた。これをとりのぞいたので、張は楽になり、死ぬように泣き喚くことはやめた。