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かせいたんけん

火星探険

海野 十三

「サイエンス」1945(昭和20)年12月~1946(昭和21)年11月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 77,522 字 · 155 页

青空文庫

それでも旅程は一日一日とはかどって、だんだんアリゾナ州へ近づいていった。とはいうものの、まだやっと半道を過ぎたばかりである。

その頃、貯蔵の食糧が、がっかりするほど減ってしまった。この調子でいくと、四人はコロラド大峡谷の中で餓死するおそれがあることが分った。食糧係の河合は、目を皿のように丸くして、この一件をどうするかについて一同に相談をかけた。

「僕とネッドがむりに加わったからいけないんだ。その原因は僕たちにあるんだから、なんとか僕たちで考えよう」

張は、わるびれずにいった。その様子があまり気の毒だったので、山木が言葉をかけた。

「おい張君。君が大切にしている水晶さまにお願いして、缶詰を二箱ぐらいなんとか都合してもらえまいか」

「冗談じゃない。そんなうまい力は、水晶さまにありゃしない」

張が正直なことをいったので、皆は声を揃えて笑った。するとネッドがいった。

「それなら、水晶さまを誰かに売って、そのお金で缶詰を買ったらどうだろう」

「ば、ばか」

と張は怒って、ネッドを睨みつけたが、とたんに力が身体にはいって傷が痛みだした。彼は三人の笑いの中に、ひとり歯をくいしばった。