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かせいたんけん
火星探険
海野 十三
「サイエンス」1945(昭和20)年12月~1946(昭和21)年11月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 77,522 字 · 155 页
ネッドは張切って命令を下した。山木も河合も、始めは呆れはしたが、なんだか面白くなったので、二人で力をあわせて画の牛の乳房のところに穴をあけ、そこに曲ったフォン(多分古いラジオ受信機のラッパであろう、こんなものをどこで探してきたんだろう)を取付けた。
「さあ、もういいから、これであそこに見える町の中を一周り練って廻り、そしてここへ戻ってくるのだ」
ネッドは、猿の腰掛の上から叫んだ。山木と河合とがその方を見上げると、ネッドはいつの間に服装をかえたのか、頭には赤いターバンをぐるぐる巻き、身体にはぞろりと長く引摺ったカーテンのような衣を着、いやに取済ました顔付をしていたが、山木たちがあまりいつまでも見つめているものだから、はずかしくなって、とうとうぷっとふき出した。
「さあ、ぼんやりしないで、一刻も早く神秘の箱車を走らせたり、走らせたり」
「おい、大丈夫か」
山木と河合とは、運転台にとびあがり、早速エンジンをかけて車を動かした。
おどろいたのは、そのエリス町の人々であった。天から降ったか地から湧いたか、異様な箱自動車ががたがた音をさせて入ってきて、牛頭大仙人の占いを、顔の真黒な子供とも老人とも区別がつかない従者が高い腰掛の上から宣伝したものであるから、みんな目を見はっておどろいた。