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かせいたんけん

火星探険

海野 十三

「サイエンス」1945(昭和20)年12月~1946(昭和21)年11月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 77,522 字 · 155 页

青空文庫

れて、火星探険の熱ばかりあげているんだ」

わしのように若いといったジグスは、そう若くもなく、頭のてっぺんで髪が禿げていた。

「へえ、そうですか、それでデニー博士は火星へ何度ぐらい行ってきたんですか」

と山木が、まじめな顔をして訊いた。

「ばかをいっちゃいかん、いくら子供だって……」とジグスは呆れ顔になり「あのよぼよぼ博士はもちろんのこと、地球上のどんなえらい人間だって、火星へ旅行をしたことのある者なんて一人もあるもんかね。火星は月よりもっと遠いのだよ。その月世界へ行った者だって、唯一人居ないじゃないか」

「なるほど、そうでしたね」

山木は、頭をかいた。すると河合が代ってジグスに訊いた。

「で、今でも博士は火星探険協会長の仕事をしているのですか」

「それは、性こりもなくやっているよ」とジグスは河合の顔をながめやって「今から三十年前に、隣村の森の中に塔を建てて、そこを研究所にして、しきりに大空をのぞいていたがね。塔の屋根が丸くて、そして中で機械をまわすと割れ目が出来、そこからでかい望遠鏡がにゅっと出るのさ。ところが、そこの研究所は今はからっぽさ」

「へえっ、どうしたんですか」