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かせいたんけん

火星探険

海野 十三

「サイエンス」1945(昭和20)年12月~1946(昭和21)年11月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 77,522 字 · 155 页

青空文庫

しかし、窓から外を見れば、どうしてもわれわれは今飛行機の中にいるとしか思われない。大峡谷の景色は、さっきから思えば、ずっと小さくなった。その代り、ずっと遠方までの広い風景が一望の中に入っている。ふしぎでならないが、さっきにくらべて、もうかなり高度が増したようだ。

「おい、どうしたんだろう」

「どうしたんだろうね」

「気が変になったんだろうか」

「僕たちが四人ともいっしょに気が変になるなんて、あるだろうか」

「変だ、変だ、どうしても変だ」

「変どころのさわぎじゃないよ。僕たちは、空中へ放りあげられたんだ」

そういい切ったのは河合少年だった。さすがに彼は、このさわぎの中から一つの考えをまとめる力を持っていた。

「空へ放りあげられたって」

山木も張もネッドも、同時にそう叫んだ。

「ほら、下をごらん。あそこに見えるのは地上だ。地上があんなに小さく遠くなっていく……」

「ほんとだ。で、僕たちはどうして空中へ放りあげられたんだろう」

山木は早口で、河合にきく。

「さあ、分らないね、それは……」

「家ごと空へ放りあげられるというのは変じゃないか。飛行機は空を飛ぶけれど、家が空を飛ぶ話をきいたことがない」