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かせいたんけん
火星探険
海野 十三
「サイエンス」1945(昭和20)年12月~1946(昭和21)年11月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 77,522 字 · 155 页
そのマートン青年――いやマートン技師が、油だらけになった身体を二階廊下のベンチの上に横たえているそばを、四少年は通りかかったのである。少年たちに声をかけられ、マートンは大儀そうに上半身を起した。彼はたいへん疲れ切っていた。
「どうしたんですか、マートンさん」
と、少年たちは彼をとりまいていった。
「ああ、君たちも逃げおくれた組だな」
マートンは気の毒そうにいった。
「えっ、逃げおくれたとは……」
「おや、知らないのかね、君たちは……。この宇宙艇はね、まだ出発するはずではなかったんだ。機関室で、或るまちがいの事件が起ったため、こうしてまちがって離陸したんだ」
「へえっ、機関室でまちがったのですか」
「うん。君たちは、さっき警報ベルの鳴ったのをきかなかったかね。“総員退去せよ”と、ベルがじゃんじゃん鳴ったよ。それをきくと、多くの者は外へとび出し、そして助かったんだ」
そういえば、たしかにベルがけたたましく鳴っていた。それにつづいてさわがしい人声や駆足の音を耳にしたが、あれが総員退去せよとの警報だったんだ。今になって気がついては、もうおそい。
「……で、マートンさんと僕たちだけ、逃げおくれたんですか」