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かせいたんけん

火星探険

海野 十三

「サイエンス」1945(昭和20)年12月~1946(昭和21)年11月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 77,522 字 · 155 页

青空文庫

と、河合は料理係になった張少年のことを心配してたずねた。

「張君のことか。彼奴は大喜びだよ。なぜって、御馳走のつまった缶詰の中にうづまっているんだからね。ところで君は何をたべるかね。何でも持ってきてやるよ」

ネッドは、にこにこして、たずねた。

「そうだね、あついコーヒーとね。それから甘いものだ。ショート・ケーキか、パイナップルの缶詰でもいいよ」

「よし、何でもあるから、うんと持ってこよう」

「でも、食料品が足りないという話だから持って来るのは少しでいいよ」

「なあに、うんとあるから大丈夫」

ネッドは心得顔で、調理場へ入っていった。

河合が待っていると、調理場で大きな叫び声が聞えた。何だろうと思っていると、間もなくネッドが妙な顔をして河合の方へやってきた。彼は左手でパイ缶を持ち、右手には皿を持ち、その皿でパイ缶を上からおさえつけるようにしている。

「どうしたんだ、ネッド」

と、河合はたずねた。

「いやあ、へんなことがあるんだよ。パイ缶をあけたんだよ。すると中からパイナップルがぬうっと出てきたんだよ。まるでパイナップルが生きているとしか思えないんだ。それとね、甘いおつゆがね、やはり缶から湯気のようにあがってきて、そこら中をふらふら漂うんだよ。