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かやくせん
火薬船
海野 十三
「大日本青年」(「浪立つ極東航路」のタイトルで。)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 61,552 字 · 124 页
「た、竹。おれは、うれしいぞ。おれは、まだ死にはしない」
「うん、死ぬものか」
と、竹見は口ではいったものの、この重症のハルクが再起できるとは、ひいき目にもおもわれなかった。
「おい、た、竹。おれのズボンのポケットから、水兵ナイフを出して……刃を起せ!」
「水兵ナイフ! 危いじゃないか」
「いや、は、はやくしろ。そして、おれの手ににぎらせてくれ」
つのる蛇毒
蛇毒にやられて、かびくさい倉庫の床に、気息奄々のハルクほど、みじめな者はなかった。常日ごろ、“巨人”という名をあたえられて畏敬されていた彼だけに、今の有様は、なみだなしでは見られなかった。
「おい、竹。どうした、水兵ナイフは……」
と、巨人ハルクは、はあはあ喘ぎながら、水夫竹見に、さいそくをした。
「うん、水兵ナイフは、あったが、これをお前がにぎって、どうするつもりかね」
竹見は、ハルクにいわれたとおり、ズボンのポケットから水兵ナイフを出して、刃を起してやったものの、このとぎすまされた水兵ナイフを、重態のハルクににぎらせていいものかどうかについて、竹見は迷った。
「はやく、は、はやく、こっちへ呉れ。な、なにをぐずぐずしている……」