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かやくせん
火薬船
海野 十三
「大日本青年」(「浪立つ極東航路」のタイトルで。)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 61,552 字 · 124 页
ふふんと鼻のさきでわらうと、とびかかってくる奴の腕を、かるくふりはらって、ぐんぐん前へ出ていく大胆さ。そこで彼は、さっきからこの有象無象とは別行動をとり、ウィンチにもたれて、こっちをじろじろしていた一人の、たくましい水夫の前にちかづき、
「おい、お前にこれをやるよ」
と、もんだいの缶詰をさしだした。
すると相手は、にやりと笑って、竹見のさしだす缶詰をうけとった。
巨人ハルク
「やい、ハルク、その缶詰は、おれたちのものだ。こっちへよこせ」
ハルクというのは、その逞しい巨人水夫の名のようだ。缶詰にみれんたっぷりの船員たちはハルクの前へおしかけて、うばいかえそうとする。
「……」
巨人ハルクは、一語も発しないで、近づいてくる船員のかおをじろりじろりとながめまわす。そして缶詰をわざと顔の前でひねくりまわして、ごくりと唾をのんでみせたりする。こいつはかえって気味がわるい。
いきおいこんだ船員たちは、猫ににらまれたねずみのように、もう一歩も前に出られなくなった。
「やい、ハルク。意地わるをすると、あとで後悔しなければならないぞ」
ハルクは、どこを風がふくかといったかおであった。